2026.05.18
学習障害(LD)のある子の進路選び|保護者が知っておきたい高校の選択肢

「テストの点数がなかなか上がらない」「勉強が嫌いなわけではないのに、どうしても読み書きが苦手で……」
こうした悩みを抱えている保護者の方は少なくありません。その困りごとの背景に「学習障害(LD)」と呼ばれる特性が隠れていることがあります。LDは知的な遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算など特定の分野に大きな困難が生じる状態です。
「うちの子に合う高校は本当にあるのだろうか」と不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。しかし、LDのあるお子さまの進路は決して限られているわけではありません。お子さまの特性を理解し、それに合った環境を選ぶことで、安心して学び続けることができます。この記事では、LDの基本的な特性から高校の選択肢、学校選びのポイントまでお伝えします。
【この記事でわかること】
- 学習障害(LD)の基本的な特性と3つのタイプ
- LDのあるお子さまが選べる高校の種類と特徴
- 進路選びで保護者が確認しておきたいポイント
- 苦手への無理な反復ではなく「得意を伸ばす」教育の考え方
- お子さまに合った環境を見つけるための具体的なステップ
学習障害(LD)とはどのような特性か
学習障害(LD)は、全体的な知的能力には問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習分野に著しい困難がある状態を指します。医学的には「限局性学習症(SLD)」と呼ばれています。
大切なのは、LDは本人の努力不足によって起こるものではないということです。お子さま本人は一生懸命取り組んでいるのに結果につながりにくいため、自信をなくしてしまうケースも少なくありません。保護者の方がLDの特性を正しく理解することが、お子さまに合った進路を見つける第一歩になります。
LDの3つのタイプと具体的な困りごと
LDには大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれ困りごとの現れ方が異なります。
| タイプ | 関連用語 | 主な困りごと |
|---|---|---|
| 読字障害 | ディスレクシア | 文字を一字ずつ拾って読む、読み飛ばしが多い、長文を読むと疲れやすい |
| 書字障害 | ディスグラフィア | 字の形が崩れやすい、似た文字(「ぬ」と「ね」など)を間違える、文字のバランスが取りにくい |
| 算数障害 | ディスカルキュリア | 数の大小がわかりにくい、筆算で桁がずれる、文章問題の意味が理解しにくい |
これらのタイプは単独で現れることもあれば、複数が重なることもあります。また、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)と併存する場合もあるため、お子さまの状態を丁寧に把握することが大切です。
LDのあるお子さまが学校生活で感じやすい困りごと
LDの特性があると、板書を写すのに時間がかかる、テストで時間内に解き終わらない、教科書の音読でつまずいてしまうなど、学校生活のさまざまな場面で困りごとを感じやすくなります。
こうした困りごとが積み重なると、「自分は勉強ができない」と感じてしまい、学習意欲の低下や学校への行きづらさにつながることもあります。だからこそ、お子さまの特性を理解し、無理のない環境で学べる進路を選ぶことが重要です。
LDのあるお子さまが選べる高校の種類
LDのあるお子さまが進学できる高校の選択肢は、実は複数あります。「特性があるから進学は難しい」と思われがちですが、決してそのようなことはありません。それぞれの特徴を理解した上で、お子さまに合った環境を選ぶことが大切です。
| 高校の種類 | 学び方の特徴 | LDのあるお子さまにとってのポイント |
|---|---|---|
| 全日制高校(配慮あり) | 毎日通学、集団授業が中心 | 合理的配慮の内容を事前に確認しやすい |
| 通信制高校 | 自宅学習中心、登校日数が少ない | 自分のペースで学びやすく、留年の心配が少ない |
| サポート校 | 通信制高校の学習を個別にサポート | 個別指導やカウンセリングを受けやすい |
| 技能連携校 | 高校課程と技能教育を並行して学ぶ | 実技・体験型の学びを取り入れやすい |
| 特別支援学校高等部 | 少人数制、手厚い個別対応 | 少人数で手厚いサポートを受けやすい |
全日制高校で受けられる合理的配慮
全日制高校の中にも、LDのある生徒への合理的配慮を行っている学校があります。テスト時間の延長、別室受験、ICT機器の利用許可といった配慮が代表的です。東京都教育委員会でも、発達障害のある生徒への支援ガイドラインを策定し、ICTを活用した読み書き支援の取り組みを進めています。ただし、授業のペースが一律であるため、入学前にどのような配慮があるか確認しておくことをおすすめします。
発達障害のあるお子さまの高校受験で必要な準備や配慮申請について、詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。
興学社高等学院「発達障害のある子の高校受験ガイド|内申点・配慮・学校選びを解説」
通信制高校・サポート校・技能連携校の特徴
通信制高校は、レポート提出とスクーリング(面接指導)で単位を取得する仕組みです。単位制を採用している学校が多く、留年の心配が少ない点がメリットです。ICT機器を活用した学習が可能な学校もあり、読み書きに困難があるお子さまに向いています。
サポート校は、通信制高校の学習を個別にフォローする施設で、カウンセリングを行っている学校もあります。技能連携校は、高校の教育課程と専門的な技能教育を並行して学べる制度で、実技や体験型の授業が多い点が魅力です。
特別支援学校高等部を選ぶ場合の留意点
特別支援学校高等部は、少人数制で手厚いサポートが受けられる進路です。一方で、学べる内容や卒業後の進路の幅が限定される場合もあるため、お子さまの状態や将来の希望に応じて慎重に検討することが大切です。
進路選びで保護者が確認しておきたいポイント
高校の種類を知った上で、実際にどの学校を選ぶかを判断するためには、いくつか確認しておきたいポイントがあります。パンフレットやウェブサイトの情報だけでは判断しにくい部分も多いため、学校見学や個別相談の場で直接確認することをおすすめします。お子さまの特性に合った環境を見つけるために、以下の点をチェックしてみてください。
お子さまの特性を理解してもらえる環境か
学校がLDや、得意・不得意に大きな差がある「発達凸凹」のある生徒の受け入れ経験を持っているかどうかは、重要な判断材料です。入学前にWISC検査などの心理検査を実施し、お子さまの得意なことと苦手なことを把握した上で学びの計画を立ててくれる学校もあります。教職員が特性を理解し、適切な対応ができる環境であれば、お子さまも安心して学校生活を送ることができます。
学習の進め方に柔軟性があるか
LDのあるお子さまにとって、画一的な授業ペースで学ぶことは大きな負担になる場合があります。以下のような対応ができる学校を選ぶと安心です。
・テストに出席できなくても単位取得のフォローがある
・ICT機器を活用した代替的な学習方法がある
・個別の学習計画を立ててもらえる
卒業後の進路サポートがあるか
高校選びでは、卒業後の進路についても確認しておくことが大切です。大学や専門学校への進学、就職(一般枠・障害者枠)、就労移行支援など、どのような選択肢があるのかを学校に聞いてみましょう。「何ができるか」「何をしたいか」を軸に、お子さまの特性や希望を丁寧に聞き取ってくれる学校であれば、将来に向けた具体的なサポートが期待できます。
発達障害のあるお子さまの高校卒業後の進路について、詳しくは以下のページもご覧ください。
興学社高等学院では、LDや発達凸凹のあるお子さまの進路について、個別相談を随時受け付けています。「うちの子に合う学校なのか知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
興学社高等学院 お問い合わせ・オープンキャンパスのお申し込みはこちら
「得意を伸ばす」進路選びが大切な理由
LDのあるお子さまの進路を考えるとき、「苦手なことを何とかしなければ」と感じる保護者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、LDの特性は努力だけで解消できるものではありません。苦手な分野を繰り返し訓練することで、かえってお子さまが自信をなくしてしまうケースもあります。大切なのは、お子さまの「得意なこと」や「好きなこと」に目を向け、それを伸ばしていく教育環境を選ぶことです。
WISC検査でお子さまの得意を把握する
WISC検査(ウィスク検査)は、お子さまの得意なことと苦手なことの差を把握するための心理検査です。発達障害を診断する検査ではなく、一人ひとりに適した支援方法を見つけるために活用されます。検査結果をもとに、お子さまに合った学習のアプローチを考えることができるため、進路選びの判断材料としても有用です。
「できた」「楽しい」の体験が自信につながる
LDのあるお子さまの中には、勉強に対して「どうせできない」と感じてしまっている方もいらっしゃいます。そうしたお子さまにとって大切なのは、まず「できた」「楽しい」という体験を通じて自信を取り戻すことです。プログラミングやイラスト、音楽など、お子さまが興味を持てる分野から学びをスタートできる環境があれば、「学ぶことは楽しい」という感覚を育むことができます。
興学社高等学院が大切にしている取り組み
当校では、LDをはじめとする発達凸凹のあるお子さまが安心して学べる環境づくりに力を入れています。「得意なことを伸ばす」という教育方針のもと、入学時のWISC検査による特性把握から、180種類以上の選択授業、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)まで、お子さま一人ひとりの特性に合わせたサポートを行っています。
当校の発達凸凹のあるお子さまへの支援方針について、詳しくは以下のページもご覧ください。
入学時のWISC検査で得意を一緒に探す
当校では入学時にWISC検査を実施し、お子さまの得意なことを一緒に探すところからスタートします。検査結果をもとに、教職員と保護者の方が連携しながら、お子さまに合った学びの計画を立てていきます。お子さまの特性を理解した上で接することで、安心できる関係を築くことができます。
180種類以上の選択授業で好きなことを学べる
当校には、心理テク、プログラミング、声優基礎、LEGO、ウクレレ、イラスト、ミュージックセラピーなど180種類以上の選択授業があります。お子さまの「好き」や「得意」を見つけられる多彩な授業を用意しており、読み書きや計算が苦手でも、自分の好きな分野で力を伸ばすことができます。
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)で社会性を育む
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)は、社会生活で必要なコミュニケーションの力を授業で身につける取り組みです。LDのあるお子さまの中には、対人関係に不安を感じている方もいらっしゃいます。SSTを通じて、卒業後に必要な力を少しずつ身につけていくことができます。
高校卒業資格取得率98.9%の手厚いフォロー
当校の高校卒業資格取得率は98.9%(令和6年度)です。テストに出席できなくても単位取得のフォローがあり、お子さまのペースで学びを進めることができます。担任・副担任の先生がしっかりサポートし、勉強面とメンタル面の両方をケアしています。
| 当校の特徴 | 内容 |
|---|---|
| WISC検査 | 入学時に実施し、お子さまの得意を一緒に探します |
| 選択授業 | 180種類以上から好きな授業を選べます |
| SST | 社会で必要なコミュニケーション力を授業で学べます |
| 卒業率 | 高校卒業資格取得率98.9%(令和6年度)を達成しています |
| サポート体制 | 担任・副担任の先生がしっかりサポートします |
| 手帳の有無 | 療育手帳・精神保健福祉手帳の有無は入学条件に影響しません |
興学社高等学院では、オープンキャンパスや個別相談を随時受け付けています。お子さまの特性や進路について気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
お子さまに合った進路を一緒に見つけていくために
LDのあるお子さまの進路選びは、保護者の方にとって大きな不安を伴うものです。しかし、焦る必要はありません。お子さまの特性をしっかりと理解し、ひとつひとつの選択肢を確認していくことで、お子さまに合った環境は見つかります。この記事でご紹介した高校の種類や選び方のポイントを参考にしながら、お子さまと一緒に進路を考えていきましょう。
まずはお子さまの特性を知ることから
進路選びの第一歩は、お子さまの特性を知ることです。LDのタイプや程度は一人ひとり異なるため、専門的な検査を受けたり、専門家に相談したりすることが大切です。相談先としては、以下のような場所があります。
・在籍している中学校の特別支援コーディネーター
・地域の教育相談センター
・お住まいの地域の発達障害者支援センター
・医療機関(小児科、児童精神科)
実際に学校を見て、お子さまの気持ちを確かめる
資料やウェブサイトの情報だけでは、学校の雰囲気や教職員の対応はわかりにくいものです。気になる学校があれば、オープンキャンパスや個別相談会に参加し、お子さま本人が「ここなら通えそう」と感じられるかどうかを確かめてみてください。保護者の方が良いと思う学校でも、お子さま本人が不安を感じていては通学を続けることは難しくなります。お子さまの気持ちを大切にしながら、一緒に進路を考えていきましょう。
興学社高等学院では、発達凸凹のあるお子さまの進路相談を随時受け付けています。まずはオープンキャンパスや個別相談にお越しください。
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また、軽度の発達障害があるお子さまの高校進学について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。







